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月刊コラム

2013年1月 アベノミクスに期待

 日本国の舵取りを任せられた安倍内閣は、手がけるべき仕事の真っ先に経済対策を掲げ、デフレ脱却に全力を挙げようとしています。これこそ、国民が政府に待ち望んでいたことで、まなじりを決して景気浮揚を実現しようとする安倍首相の手腕に、国民は大きな期待を寄せています。

 なにしろ、ひどい不況です。デフレは15年間に及び、国民の生活を苦しめてきました。これほど長期間、デフレが続くケースは世界でも前例がありません。バブル景気崩壊後の不況による日本の沈滞は、かつて「失われた10年」と呼ばれましたが、最近では、「失われた20年」とフレーズが代わりました。賃金は目減りし、就職もままならない事態が続き、生活保護費が自治体の財政を圧迫するようになっています。

 じっと耐えてきた国民の我慢ももうそろそろ限界に差し掛かってきたときに、安倍首相の登場です。首相が唱えるアベノミクスに国民は大きな希望を抱いています。新聞社の調査によりますと、内閣発足直後の安倍内閣支持率が65%から、半月後には68%に上昇しました。この数字にも国民の期待の大きさが表れています。

 アベノミクスは首相の名前とエコノミクスをかけ合わせた造語です。柱となる政策はインフレ目標を2%に設定し、日銀法の改正も視野に入れて、大胆な金融緩和を行うというものです。市中に出回る資金量を増やしてインフレを誘発するために、政府は過去2番目に規模が大きい歳出総額13兆1054億円の12年度補正予算案を決定しました。

 大胆な金融緩和を行って資金が市中に出回っても、インフレだけで経済活動は停滞したままということにもなりかねません。アベノミクスでは緊急経済対策で切れ目なく経済政策を実行し、日本経済再生・産業競争力強化法(仮称)を制定して製造業の復活を目指すとしています。このほか、法人税を引き下げて産業の海外流失を防ぐ手立てもとります。補正予算のうち、4兆7000億円を公共投資に投入して、産業活動のカンフル剤にもすることにしています。

 問題は資金を国債に頼ることです。補正予算案では、財源不足をまかなうために7.8兆円の国債を増発するため、2012年度の新規国債発行額は当初予算の国債発行額と合わせて52兆円になります。これは、税収と日銀からの納付金などの税外収入を合わせた46.5兆円を大きく上回り、借金が収入を上回るという事態になりました。毎年、財源不足を国債発行に頼ってきた結果、日本の累積債務はおよそ1000兆円に達しました。日本のGDPが約500兆円と言われていますので、日本国民が2年間、飲まず食わずで働いてようやく返済できる巨額な借金です。

 アメリカなどの先進国にも累積債務があります。ただ、それらの国の債務は毎年、ほぼ一定の額で推移しているのに対して、日本の債務は年々、上昇を続けているのが問題です。「日本は世界一の債権国」「日本の貯蓄は世界最大規模」「外貨準備高は世界2位」などを理由に債務が返せなくなるデフォルト(債務不履行)に陥ることはないという楽観論もありますが、やはり、財政破綻の不安はつのります。

 健全財政を目指すのは当然ですが、それも経済活動が活発になり、国の歳入が増加するのが前提です。デフレで経済活動が沈滞している中では到底不可能です。安倍内閣はひとまず、プライマリーバランス(財政均衡)に目をつぶり、思い切った政策でデフレ脱却を目指そうとしています。いわば「毒をもって毒を制す」手段を実行しようとしているのです。

 デフレ脱却、景気浮揚には円安が欠かせません。円安が進めば原油輸入価格などが上昇し、危機に陥る企業もあるという意見もあります。閣僚らの発言で円高になり、株価が急落するという出来事もありました。でも考えてみてください。一頃は1ドル100円前後で十分、日本経済がやっていたではありませんか。デフレから穏やかなインフレへのチェンジ、円安実現での企業活動の活発化がともかく優先されているのです。

 安倍首相の景気浮揚発言で、円安に進み、株価は一挙に1万円を超えました。早くも景気浮揚の萌芽が見えています。一歩間違えると日本経済崩壊にもつながりかねないアベノミクスですが、何もせずにデフレに苦しむのはもう御免です。困難な局面を乗り切り、日本経済を上昇に導く安倍首相の手腕に、大いに期待したいと思います。

 

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