近畿地方などに大きな被害をもたらした台風21号は、現在と同じ方法による記録が残る1991年以降で、初めて「超大型」のまま上陸した台風だったそうです。中心気圧は950ヘクトパスカルで、1951年以降で16番目でしたが、風速15㍍以上の強風域は1000㌔㍍以上で、日本列島のほぼ全域を覆ったということです。また、7月に日本列島を直撃した台風3号は西日本に記録的な大雨をもたらしました。
遠く赤道付近で発生する台風が近年大型化し、甚大な被害をもたらすようになってきました。2013年11月にフィリピンに上陸した台風30号「ハイエン」は風速87㍍、最大瞬間風速105㍍を記録、フィリピン人口の約1割に当たる約950万人が被災し、死者は2300人を超えました。被害総額は約854億円以上に上ったということです。
最大瞬間風速67㍍を超える台風を米国ではスーパー台風(Super Typhoon)と呼びますが、日本の大学や気象庁の研究によると、2074年~2087年には西太平洋の海面水温が地球温暖化の影響で2度ほど高くなり、スーパー台風が複数回発生する恐れがあるそうです。最大のものは瞬間最大風速80㍍を超える超大型台風に成長するということです。フィリピンに甚大な被害をもたらした超大型台風が毎年のように発生し、日本めがけてやってくるなんて考えるだけでもぞっとします。
大雨災害も頻発しています。日本近海の海水温が上昇していて海水の蒸発が激しく、ちょっとしたきっかけで積乱雲が発生し、大雨をもたらすそうです。7月の九州北部豪雨と名付けられた豪雨は居座っていた梅雨前線に、台風3号によって洋上から大量の湿った空気が供給され、福岡県朝倉では24時間で515.5㍉㍍という観測史上最大の雨量を記録しました。被害も大きく、26人が死亡・行方不明になり、住宅98棟が全壊しました。
千葉県でも9月28日には前線を伴った低気圧の影響で富津市やいすみ市、大多喜町付近で1時間に約100㍉の猛烈な雨が観測され、災害の発生につながるような、稀にしか観測しない雨量であることを知らせる「記録的短時間大雨情報」が発表されました。
そもそも日本の年平均降水量1718㍉㍍は、世界平均880㍉㍍の約2倍に相当し、さらに日本列島は2000㍍から3000㍍級の山脈が急勾配となっていて、強い雨が降ると一気に増水してしまうという特性があります。これまで一般的とされてきた下水道の対応基準「雨水流出率50%、1時間当たりの降水量50㍉㍍」を見直す必要があるかもしれません。
大雨災害に対する対策として、「公助、共助、自助」がしっかり機能する必要があります。公助とは国や県、市町村による対応です。大雨時の適切な注意報や警報、避難誘導などのほか、河川改修、崖の補強などの災害予防も求められます。地域コミュニティの人々が力を合わせて大雨災害対策に取り組むのが共助です。地域での水位監視、緊急時の情報収集・伝達、要援護者の安否確認などのほか、避難所運営の訓練も日ごろから行っておくべきです。もちろん、最後は「自分の身は自分で守る」です。河川があふれた時にどう逃げるか、ハザードマップで避難場所や避難経路を確認しておくなどの自助で自分の身を守りましょう。