千葉県議会議員 林もとひと オフィシャルサイト

月刊コラム

2022年3月 ウクライナの戦火、終息を祈る

 ロシアが隣国ウクライナに攻め入ってから1カ月が経過しました。ロシア軍は、当初目論んだ短期決戦の行き詰まりで業を煮やしたのか、民間施設にも砲弾を撃ち込む無差別攻撃に踏み切り、ウクライナの一般市民に多数の犠牲者が出ています。世界はこぞってプーチン大統領の暴走を非難しています。1日も早く戦火が止み、ウクライナに平和が戻ってくるのを心から祈ります。

 ウクライナ軍の抵抗で、思うように首都キーウ(キエフ)に進軍できないロシア軍は、病院やアパートなどの民間施設も爆撃の目標にしています。大勢の市民が銃火や砲弾、ミサイルの犠牲になり、国連人権高等弁務官事務所の発表では、3月25日までに確認されただけで1100人を超える一般市民が死亡しました。このうち、およそ半数が子どもだそうです。未確認の者を含めると、犠牲者はこの数字をはるかに超えるとされています。

 ロシア軍はウクライナの原子力発電所を攻撃するという暴挙にもでました。爆発を起こした4号機を抱えるチェルノブイリ原発や稼働中のザポリージャ原発に砲弾を撃ち込み占拠しました。幸い、原子炉が変調をきたす事態は避けられましたが、原子炉が最悪の事態になったら、チェルノブイリ原発事故の10倍の被害をヨーロッパにもたらすところでした。

原子力発電所や病院への攻撃は、いずれも国際人道法であるジュネーブ条約で禁止されています。国際刑事裁判所(ICJ)は「国際法に照らして重大な問題を提起している」として、ロシアに対して直ちに軍事行動を止めるよう暫定的な命令を出し、国際刑事裁判所(ICC)は戦争犯罪や人道に対する罪、集団殺害(ジェノサイド)の罪で捜査を開始しました。

 大量破壊兵器である生物化学兵器のロシア軍による使用も危惧されています。そればかりか、核兵器の使用もちらつくようになっています。小型であったとしても、核兵器が使用されれば、直接介入を控えてきたNATOや米国も行動を起こさざるを得ません。ロシア軍によるウクライナ侵攻は核ミサイルの撃ち合いによる世界戦争の危険もはらんでいるのです。

 今回のウクライナ侵攻で引き合いに出されるのがソ連によるアフガニスタン侵攻です。1979年12月にアフガニスタンに攻め入ったソ連軍は死者1万5000人、負傷者5万人の犠牲者を出して、1989年2月に撤退しました。過酷な戦場から帰国した若者の多くが心的外傷後ストレス障害(PTSD)を負い、社会に適合できなくなりました。

 今回のウクライナ侵攻でロシア軍の死者は1万5000人にのぼるとNATO(北大西洋条約機構)やウクライナは見ています。大勢のロシア兵士がPTSDを患い、帰国後も苦しむことでしょう。さらに、西側諸国の厳しい経済制裁でロシア国内では物価が上昇するなど、国民の暮らしに直接的な影響が出ています。ウクライナ侵攻はロシアにとっても多大なダメージを免れない暴挙なのです。

 私達は、ロシア軍によるウクライナ侵攻を、遠いヨーロッパでの出来事として見てはなりません。中国が東シナ海や南シナ海に進出し、隣国とトラブルになっています。我が国とも尖閣諸島をめぐって摩擦が生じています。ロシア軍のウクライナ侵攻が成果を収めるようなことになれば、中国に刺激を与えることになるのです。日本は諸外国と力を合わせて、プーチン大統領の企てを阻止しなければなりません。

 

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