この度の豪雨によって亡くなられた方々に弔意を捧げるとともに、住宅などに被害を被った皆様にお見舞いを申し上げます。防災は喫緊の課題です。県議会の場を通じて、更なる防災施策の実現に全力を挙げます。
台風15号による強風で県内いたるところで大きな被害が発生しました。その記憶がまだ生々しいというのに、今度は大雨の被害です。10月25日に県内を襲った記録的な豪雨で市原市の養老川や佐倉市の鹿島川など多くの河川が氾濫、11人の方が亡くなり、2327戸の住宅が水に浸かりました(10月30日現在)。さらに道路が冠水し、多くの道路が寸断されました。
水蒸気をたっぷりと含んだ亜熱帯低気圧に北上してきた台風21号から暖かく湿った空気が送り込まれ、わずか半日で10月の平均降雨量が降るという今回の記録的豪雨になったといいます。この数年に一度しか出されていない「記録的短時間大雨情報」も千葉市や八街市付近で発表されました。
台風15号に続く台風19号、さらに今回の豪雨と、千葉県は3連続で天災に見舞われました。千葉県出身でZOZO創業者の前澤友作さんは自身のTwitterで、「神様、お願いです。もう千葉をこれ以上いじめないで。お願い」とツイートしました。多くの県民が同様の心境だと思います。安倍首相も公式ツイッターに「亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、すべての被災者の皆様に心からお見舞いを申し上げます」と掲載しました。
河川からあふれ出た水や行き場を失った雨水がニンジン、大根、キャベツ畑などを覆うなどして農業にも被害が発生しました。10月30日現在の被害額は分かっただけで約1億2600万円に上り、これに台風15号、19号の被害を合わせた千葉県の農林水産業被害額は450億円に迫りました。実りの秋に思わぬ天災に直撃された農家などへ速やかな公的支援が望まれます。
今回の大雨では移動や避難方法の課題が浮き彫りになりました。県内死者11人のうち、5人が車で移動中に死亡した車中死と見られています。長柄町の88歳男性は軽乗用車で息子の家に避難する途中、氾濫した一宮川の水流に飲み込まれて死亡しました。このほか、幼稚園に子どもを迎えに行く途中や、職場に妻を迎えに行く最中に車が立ち往生し、車中死した方もいました。
車は水深30㌢以上の水に浸かるとエンジンがストップ、50㌢以上になると水圧でドアが開かなくなるといいます。電気系統が浸水でショートして窓も開かなくなり、車中に閉じ込められることになります。道路が冠水している場合、水深10㌢以上になれば車で外に出ず、建物の2階に上がるなどの「垂直避難」が呼びかけられています。
今回の大雨で4人が亡くなった千葉市と市原市の3カ所の土砂崩れ現場は、県による土砂災害警戒区域に指定されていませんでした。土砂災害警戒区域の指定は全国平均が88%に対して、千葉県の指定は36%にとどまっています。速やかな指定推進が望まれます。
千葉県はこれまで比較的、大きな災害に遭うことがありませんでした。それゆえに私たち県民の心には油断があったとは言わないまでも、防災に対してそれほどの切迫感はなかったのではと思います。森田知事は10月30日の記者会見で「もう千葉県は災害が少ない県ではない」と述べました。地球温暖化が叫ばれている折、いつ、同じような災害が千葉県を襲うかもしれません。防災対策の一層の推進が迫られています。