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月刊コラム

2016年1月 多くの若者の命を奪ったバス事故

 長野県軽井沢町の国道18号碓井バイパスで乗客39人を乗せたスキーバスがガードレールを突き破って道路下に転落、乗客・乗員15人が死亡した事故のニュースは、正月気分が覚めやらなかった私たちを震撼させました。

 バスは群馬県から長野県方面に向かうバイパスの緩やかな下り坂を走行中、左側のガードレールに接触、衝撃で対向車線にはみ出し、約100㍍先のガードレールをなぎ倒し、道路右側に転落しました。多くの若者の命を奪ったこの事故は、若者が犠牲になったバスによる事故としては1985年1月、日本福祉大学の学生らを乗せて北志賀高原のスキー場に向かうバスが、運転を誤って犀川に転落、大学生25人が死亡した事故以来だそうです。

 多くの若者の命を一瞬のうちに奪った悲惨なバス事故はなぜ起こったのでしょうか。事故の原因として運転手の運転ミス、スピードの出し過ぎ、ブレーキ故障などが推測されています。それらの直接的な原因のほかに、間接的な原因として、バス会社の安全意識の低さが指摘されています。社長の遅刻で安全点呼がされないままでした。運行指示書も不十分で、大型バスの運転に不安を訴える新採用の運転手に、わずか2回の研修でスキーバスのハンドルを握らせました。

 さらに、貸し切りバス業界の厳しい競争が遠因として挙げられます。貸し切りバスは規制緩和で2000年にそれまでの免許制から許可制に変わり、新規参入が相次いだ結果、規制緩和直前の1999年に2336社だった事業者は、2013年には4512社にまで急増しました。当然、競争が激しくなり、法令で定められた運賃の下限を下回って契約する会社も増えたということです。事故を起こしたバス会社も約27万円の運賃の下限を下回る約19万円で旅行会社と契約したということです。「旅行会社からいただく仕事は、大半が基準額を下回っていたのではないかと思う」とバス会社の社長は話していました。儲けが少なくなれば、無理をしてでも運行し、利潤を確保しようとします。安全運行がないがしろにされた背景がここにあるのではないでしょうか。

 道路に設置されたカメラの映像分析で、事故の原因はブレーキの故障ではないかという見方も出ています。安全管理がおろそかになり、十分なバスの整備ができなかったとなれば言語道断です。

 今回の事故を受けて、国土交通省は「軽井沢スキーバス事故対策検討委員会」を設置し、このような悲惨な事故の再発防止策についての検討に着手しました。事業参入の際や参入後の安全確保に関するチェックの強化、運賃制度の遵守など安全確保のための対策の強化に取り組むということです。

 乗っていさえすれば目的地まで運んでくれるバス旅行は、私たちのレジャーに欠かせません。多くの人々が貸し切りバスを利用して旅行を楽しんでいますが、一方で、私たちもいつ事故の犠牲者になるか分からないということを今回の事故は知らしめました。貸し切りバス業界の正常化、安全管理の徹底で、このような悲惨な事故が二度と起こらないようにしなければなりません。

 

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