千葉県議会議員 林もとひと オフィシャルサイト

月刊コラム

2019年8月 あおり運転撲滅を

 茨城県内の常磐自動車道で、執拗にあおり運転をして停車させた車のドライバーを殴ってけがを負わせた会社経営の男が逮捕されました。多くの方から寄せられた情報では、この男は全国各地の道路で同じようなあおり運転をしていたようです。私たちもいつ、このようなあおり運転常習者に目をつけられるか分かりません。警察にはあおり運転の取り締まりを強化し、安心して車を運転できるようにしていただきたい思います。

 日本自動車連盟(JAF)が行った調査では、94.3%の人が「あおり運転をされたことがある」と答えています。幅寄せや蛇行運転をする、車間間隔を詰めてライトをパッシングする、前方に割り込みして急ブレーキをかけるといった危険なあおり運転をほとんどのドライバーが実際に受けた経験があると思います。

 なぜあおり運転が横行するのでしょうか。交通心理学が専門の大学教授によりますと、普段の生活で慢性的な不満やストレスをためたまま車を運転し、渋滞に巻き込まれたり、不意に割り込まれたりしてイライラが高まると興奮や怒りがもたらされ、それを解消する手段として攻撃行動が生じるといいます。また、自分の近くを走っている他の車のせいで不本意なハンドル操作やペダル操作をしなければならなかったことを、攻撃を受けたと感じて報復や制裁をという思いが生じるともしています。それらの心理的葛藤があおり運転につながると分析しています。

 あおり運転を受けたときの対処法についてもいろいろなアドバイスがされています。一番良い方法はあおり運転をされたら道を譲り、スルーすることです。相手に対抗しようとしてはいけません。それでもしつこく追いかけてくる場合は車内から110番してあおり運転を受けていることを伝え、身の危険を感じていると話してパトカーの出動を要請しましょう。ドライブレコーダーの設置も奨励されています。あおり運転を受けてトラブルになった際の証拠になることはもちろんですが、ドライブレコーダーがあることを示すことであおり運転の抑止も期待されます。

 東名高速道路であおり運転をされ、停車させられた車に後続のトラックが追突し、夫婦2人が死亡するというショッキングな事件をきっかけに、警察はあおり運転の取り締まりを強化しています。千葉県警察でも昨年、車間距離不保持違反、追い越し方法違反、進路変更禁止違反で前年を大きく上回る摘発を行っています。6月県議会で千葉県警本部長は取り締まりにヘリコプターの活用も検討したいと答弁し、あおり運転抑止への強い姿勢を示しています。危険なあおり運転の撲滅に向けて目を光らせていただきたいと思います。

 あおり運転に対する厳罰化の声も高まっています。新聞社の調査で回答に応じた人のうちの95%が「あおり運転の厳罰化を望む」と答えています。今年1月には人の道を説くべき僧侶があおり運転で書類送検されるというニュースもありました。このままでは、取り締まりを強化しても危険な運転は後を絶ちません。あおり運転をなくすためには、「あおり運転罪」を設けて、あおり運転は違法な行為であることを悪質ドライバーにしっかり認識させる必要があります。道路交通法や刑法の改正、新規立法を想定し、今秋の臨時国会での法整備が目指されているようです。

 ドイツでは事故の大小に関係なく、他の車に攻撃的なドライバーを対象に裁判所が危険と判断すると生涯、運転免許がはく奪されます。イギリスでは、悪質なあおり運転には死傷者の有無に関係なく、危険運転罪が適用され、最大2年間の拘束、最低1年間の免許没収が科せられます。我が国でも悪質なあおり運転常習者には一時的な免許停止ではなく、生涯、運転免許を手にできないような罰則も検討していいのではと思います。

 

千葉県議会 インターネット中継

最新県議会リポート

成田のシティ情報ポータルサイト

TOP政策・提言プロフィール県議会リポート月刊コラムブログリンクお問い合わせ