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月刊コラム

2103年7月 妊婦を風疹から守ろう

 風疹の流行が依然として止まりません。今年の県内患者数は6月9日現在で545人に達しました。昨年同期の患者数は7人でしたので、かなりの猛威ぶりです。少子化対策のためにも全力をあげて流行を押さえ込まなければなりません。

 妊娠中に風疹にかかると、赤ちゃんに難聴や心疾患、白内障や緑内障などの障害(先天性風疹症候群)が起こる可能性があることが知られています。この危険を避けるために、若い夫婦が子づくりをためらうとしたら問題です。国は一人でも多くの子どもをつくり育ててもらおうと、さまざまな施策を実行していますが、風疹の流行はこの試みの逆風になっているのです。

 風疹の抗体を持っていない人にはワクチン予防接種の方法があります。接種費用は自己負担で、風疹単体のワクチンで5000円ほど、風疹と麻疹の混合ワクチンでは1万円ほどの費用がかかりますが、妊娠を希望する女性や妊娠している女性の配偶者に補助をする自治体が増えています。千葉県は東京都などと共にいち早く、助成を行う市町村に対して費用の2分の1補助を決定し、実行に移しました。

 単体ワクチンで3000円、混合ワクチンは5000円の補助であったり、接種にかかった費用の半額助成など、助成の金額、方法は様々ですが、県が速やかに市町村への補助に踏み切ったことで、県内では助成を行う市町村が急速に拡大しました。

 風疹の流行に対しての県や市町村の積極的な対応は評価できますが、ただ、生活保護受給世帯などを除いて、どこも費用の一部助成にとどまっているのが残念です。品川区や江東区、仙台市、名古屋市など接種費用の全額を助成している自治体も少なからずあります。県内でも思い切った助成を行う自治体が現れて欲しかったと思います。

 このほか、風疹の抗体検査費用の問題があります。抗体検査には1000~10000円かかりますが、これも助成の対象として検討すべきです。さいたま市はワクチン接種費用とともに抗体検査費用も助成しています。もしくは福岡市のように、保健施設で簡単に検査できるような体制が望ましいと考えます。

 風疹の抗体を持っていない可能性が高い世代は、女性が1979年4月2日~1987年10月1日生まれの人、男性が1987年10月1日以前に生まれた人だそうです。1995年に風疹の予防接種年齢が変更され、その時まで中学校期の女子のみが対象であった風疹の予防接種が、男女とも1歳~7歳半までになりました。そのため1995年時点で、7歳半~16歳未満(1979年4月2日~1987年10月1日生まれ)だった女性は接種機会がなくなってしまい、1987年10月1日以前に生まれた男性は1995年の風疹予防接種が始まった時点で接種対象外の7歳半以上だったので接種機会がなかったというわけです。

 以上の理由から、予防接種政策の空白期間をつくった国の責任を問い、風疹のワクチン接種は公費にすべきだという声も聞かれます。東京都などが国に要望していますが、予算がないと、国は補助に乗り気ではありません。妊娠を希望する夫婦にとって風疹は重要な問題です。全国的にみれば、助成制度がない市町村もまだ数多くあります。少子化対策の充実をあらゆる方向から図るなら、国はワクチン接種費用の補助を前向きに考えてもいいのではないでしょうか。

 

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