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月刊コラム

2018年10月 受動喫煙防止条例

 飲食店など多くの人が集まる屋内での喫煙を原則として禁止して、違反者に罰則を科す国の改正健康増進法が可決成立し、2020年4月に全面施行されます。それより一足早く、東京都は国の規制より厳しい受動喫煙防止条例を成立させました。非喫煙者をたばこの煙から守る施策が急ピッチで進められています。

 たばこの煙には200種類以上の有害な化学物質が含まれています。このうち40~60種類が発がん性物質で、たばこが原因と思われる肺がんは全体の70%に及ぶそうです。このほか、たばこの煙に含まれる一酸化炭素は赤血球のヘモグロビンと結合しやすく、体内の酸素欠乏で動脈硬化が進み、脳卒中や心筋梗塞、大動脈解離などを発症する危険度が高くなると言われています。

 たばこの害がそれほど言われなかった昔は、換気が悪い職場では紫煙がたなびき、喫煙しながら歩いていた歩行者も大勢いました。オードリーヘップバーン主演の映画「ティファニーで朝食を」では、登場人物の喫煙シーンがやたらに出てきて、思わずせき込みたくなるほどでした。

 情報化が進むにつれてこれらたばこの人体における悪影響が周知され、50年前には5人に4人が喫煙者だったものが、今では4人に1人まで減ってきています。喫煙者はたばこの有害性を知りながらなおかつ自己責任でたしなんでいるので、とやかくいうものではないのですが、問題はたばこの煙が近くの人に及ぼす受動喫煙の影響です。喫煙者がふかすたばこの煙を吸い込んだ人は、当然、たばこの悪影響を被るわけで、たばこを吸わないのに肺がんにかかった人を調べると、同居する家人がヘビースモーカーだったという例がたくさんあります。

 受動喫煙には喫煙者がふかすたばこの煙を浴びてしまう二次喫煙のほか、三次喫煙である残留受動喫煙もあります。喫煙者がたばこを吸っていた部屋はたばこの有害物質が残っています。衣服にたばこの有害物質を付着させた喫煙者のそばに寄れば、残留受動喫煙をしてしまうことになります。WHOの推計では、受動喫煙が原因の死者が世界で年間60万人を数え、日本では1万5千人が死亡しているといいます(国立がん研究センター推計)。

 このため受動喫煙対策を求める声が強まり、国は7月18日に改正健康増進法を可決、成立させました。東京オリンピック・パラリンピックが開幕する前の2020年4月に全面施行させます。これより先に成立した東京都の受動喫煙防止条例は、従業員を雇っている飲食店では原則禁煙など、小規模な飲食店に例外を認める国の改正健康増進法より厳しいものになっています。

 県内では千葉市で客席面積にかかわらず、喫煙専用室を設けない限りたばこを吸えなくする受動喫煙防止条例が可決、成立しました。違反した場合は5万以下の過料が科せられます。罰則付きの受動喫煙防止条例は神奈川県、兵庫県、東京都に続いて4例目、市町村では初めてだそうです。オリンピック会場になる幕張メッセへ多くの外国人が訪れる千葉市の意気込みが分かります。また、習志野市では条例で市内全駅周辺や幼稚園、小学校などの施設周辺の路上での喫煙を禁止しました。

 最近では煙がでない加熱式たばこを用いる人が増えてきました。その取り扱いは国、東京都、千葉市もほぼ同じで、喫煙室、専用の喫煙席でなら許されるということです。

 一方、県では2010年に立ち上げた受動喫煙防止対策検討会で、「県民の健康維持増進のために、受動喫煙の防止を一層推進する」ことで意見が一致しました。しかし、その後の条例化の動きは見られず、「今国会で(健康増進法改正案)が議論されているが、国の指針を出してもらい、それを見極めて千葉県として考えたい(5月31日の記者会見で森田知事)」と発言するにとどまっています。国の改正健康増進法も可決、成立しました。県の条例化への対応が注目されます。

 

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