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月刊コラム

2022年10月 北朝鮮、ミサイル発射の暴挙

 北朝鮮がミサイルを相次いで発射しています。今年は50発余りの弾道ミサイルを発射し、世界各国が安保理決議違反だとして非難をしています。ミサイル開発に突き進む北朝鮮の思惑は何なのでしょうか。

 ミサイルを発射するのには莫大な費用が掛かります。北朝鮮は大陸間弾道ミサイル発射に1発あたり27~40億円、短距離弾道ミサイルは1発あたり4億円~7億円を投じていると推測され、今年6月5日までに発射された33発のミサイルに計540~870億円を費やしたと韓国のシンクタンクが発表しています。これは食糧危機で普段、食べるものに困っている国民を救える金額だということです。

 膨大な費用がかかるのにも関わらず、米国本土も射程に収めるミサイル開発を続ける理由として、米国への対抗意識が挙げられます。朝鮮戦争以来、いまだに休戦状態にある米国は、北朝鮮にとって敵国のままなのです。米国の動向に神経質になっていて、米韓合同軍事演習の際にはいつもに増してミサイルが発射されました。

 核兵器とその運搬手段であるミサイルを持つ国家として、国際的に認められたいという魂胆もあるのでしょう。国内的には、軍事力強化を通じて、国家元首としての金正恩体制の基盤強化を図っているとされています。さらに、バイデン大統領になって協議が中断している米朝協議のテーブルに米国をつかせるための揺さぶりだという観測もあります。国連安保理の決議で経済制裁が行われていて、北朝鮮への石油輸出などが制限されていますが、米国との協議でこの経済制裁を解除させようとの狙いです。

 それでは、北朝鮮のミサイルが日本国土に落下することはあるのでしょうか。米国やその同盟国への脅しの手段として開発が進められているうちは良いのですが、国際的に孤立した北朝鮮の首脳によって、いつ発射の命令が下されるか分かりません。攻撃目標の一つとして、国内の米軍基地に照準が合わされる可能性が強いとも言われています。これに対して防御態勢も整えられています。日本に飛来するミサイルに対して、まず、海上のイージス艦が迎撃ミサイルを発射します。撃ち漏らした場合、続いて地対空ミサイル「PAC3」が迎撃するシステムが整えられています。

 弾道ミサイルが日本に飛来する可能性がある場合、Jアラート(全国瞬時警報システム)が発令されます。屋外スピーカーから警報が鳴らされるほか、携帯電話に緊急速報メールなどが送られます。これまでにJアラートの誤作動もあり、正確性や速報性などの向上が求められます。

 北朝鮮を念頭にして、日本に飛来するミサイルを迎撃するばかりではなく、反撃能力を持とうという「敵基地攻撃能力」の保有が検討されています。1956年に、当時の鳩山一郎内閣による「我が国に急迫不正の侵害が行われ、その手段として誘導弾等による攻撃が行われた場合、座して自滅を待つべしというのが憲法の趣旨とはどうしても考えられない」とした答弁が議論の発端になっています。相手の基地を叩かなければ、何発ものミサイル攻撃にさらされます。専守防衛の枠を守りつつ、限定された「敵基地攻撃能力」の保有が必要ではないかと思います。

 反撃する能力を持つことで、日本を攻撃するのを思いとどまる抑止力としても期待されます。2年前のNHKの世論調査では保有に反対が賛成を上回っていましたが、北朝鮮のミサイル発射が度重なるにつれて賛成意見が増え、今年5月の調査では賛成が51%、反対が29%と、賛成が反対を上回りました。

 ミサイル・核兵器開発に突き進む北朝鮮の暴挙を許すわけにはいけません。迎撃能力の向上、「敵基地攻撃能力」の保有などによる防御態勢の充実とともに、各国と協調してミサイル・核兵器開発を思いとどまらせるような北朝鮮への圧力が必要です。

 

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