令和3年は前年に引き続いてのコロナ禍、衆院選挙に続く自民党総裁選と岸田文雄首相の誕生、東京オリンピック・パラリンピックで日本勢が金メダルラッシュ、八街市で児童5人死傷事故など、悲喜こもごもの1年でしたが、どちらかというとつらいこと、悲しいことが多くあったような気がします。年も押し迫った12月17日には大阪・曽根崎新地の雑居ビル4階の心療内科クリニックが放火され、犯人を含め26人が死亡するというショッキングな事件が起きました。
クリニックを訪れた男がガソリンを撒いて火をつけ、居合わせた患者やクリニック院長らが煙に巻かれて一酸化炭素中毒死しました。4階には非常階段がありましたが、犯人は逃げようとする患者に体当たりするなどして、脱出を阻んだといいます。動機などについて様々な報道がされていますが、多くの人を道連れにした自殺ではないかとの見方もあります。いずれにせよ、無関係の人々を巻き込んだむごたらしい犯行であることは間違いありません。
このニュースを聞いて、多くの人が令和元年7月18日に京都市のアニメ制作会社「京都アニメーション」であった放火事件を思い出したことと思います。男がバケツのガソリンを建物1階に撒いて火をつけ、社員36人が亡くなり、35人が重軽傷を負いました。いずれもガソリンを用いて放火する手口で、大阪・北区曽根崎新地の犯行は「京都アニメーション」の放火殺人事件を参考にした可能性が指摘されています。無関係の人々を巻き添えにした放火事件に憤りを感じます。
京都アニメーションの事件後、ガソリンスタンドなどがガソリンを携行缶などに入れて販売する際には、本人確認や使用目的を確認することが義務付けられました。今回のクリニック放火事件の犯人は身分証を提示し、「バイクに使う」と話していて、ガソリンスタンド側も「そこまで言われると売らざるを得ない」と頭を抱えているそうです。ガソリンを使った放火事件を防ぐためのなにかいい方法はないでしょうか。
今回の放火事件を機に、全国で雑居ビルの防火点検が行われました。防火や火災時の避難に配慮したビル管理をしていただくのはもちろんですが、私たちもこのようなビルに足を踏み入れる時に、非常階段などの脱出路確認の習慣をつける必要がありそうです。
万一、ビル内で火災に遭った際の避難方法について消防関係者がアドバイスしています。それによりますと、まず、煙を吸い込まないことが肝要で、姿勢を低くし、ハンカチなどで口を覆って非難するのが基本ということです。室内に煙が充満してきた場合、完全に天井まで仕切りがされた部屋に逃げ込み、消防隊の救助を待つ方法も有効だそうです。京都アニメーションの火災の際には、トイレに逃げ込んだ6人が助かっています。
さて、令和4年はどんな年になるのでしょうか。オミクロン株の市中感染も報告されて気になる新型コロナですが、医師へのアンケート調査で「令和4年は新型コロナウイルス感染症収束の年になる」との回答が半数を超えるなど、明るいニュースも目につくようになりました。
令和4年は壬寅(みずのえとら)。冬が厳しいほど春の芽吹きは生命力に溢れ、華々しく生まれる年になるということらしいです。コロナ禍でじっと我慢の冬の生活から解放されることを暗示しているようで、なにやら期待が持てます。ぜひとも、そのような年になって欲しいものです。