千葉県など5都道県で継続されていた新型コロナ感染拡大に伴う緊急事態宣言が解除されました。「これで外出自粛生活から解放される」と、わくわくとした気分になった方も多いと思いますが、これからが大切です。今回の措置はあくまで緊急事態の終了ということで、ワクチンや特効薬が開発されていない現状では、新型コロナウイルスの脅威が払しょくされたわけではありません。政府が推奨する「新しい生活様式」を心がけ、世界的に新型コロナウイルス禍が収束するのを待ちましょう。
安倍首相は25日の会見で、「流行はほぼ終息させることができた」と述べました。1月16日、国内で初めて新型コロナウイルス感染患者が確認された後、感染者は増加の一途をたどりましたが、緊急事態宣言が出されてから減少傾向に転じ、緊急事態宣言が解除された25日には新たな感染者は21人にとどまりました。千葉県内でも感染者ゼロの日が続きました。人口10万人当たりの感染者数0・5人以下が宣言解除の目安でしたが、直近1週間の千葉県は0・06人、東京都が0・34人、埼玉県0・11人でこれを下回りました。北海道、神奈川県は目安を上回りましたが、感染不明者の割合が低いなどの理由から、最後まで残った5都道県の緊急事態宣言に至ったということです。
強制力のない緊急事態宣言でしたが、日本が新型ウイルスの感染拡大を抑制できたことに世界の注目が集まっているそうです。欧米のマスコミは「不可解な謎」「成功物語」と報じ、WHOも新型コロナウイルス対策が「成功した」と称賛したそうです。
緊急事態宣言がなされてから1カ月半余り、思えば長い蟄居生活でした。政府の緊急事態宣言の全面解除に伴って県は大学や映画館、学習塾、ホテルや旅館の宴会場、幕張メッセなどの展示場の26日からの再開を認めました。水族館、体育館、パチンコ店、ネットカフェなどは6月1日からの休業要請解除、カラオケ店と市川市で集団感染が発生したスポーツクラブも感染拡大予防ガイドラインの実践による対策徹底を条件に、1日からの再開が認められます。集団感染が発生したライブハウス、3密になりやすい接客を伴うキャバレー、ナイトクラブなどは当面の間、休業要請が続けられます。
緊急事態宣言に伴って、飲食店での酒類の提供は午後7時までとなっていましたが、26日から午後10時までとされました。なお、図書館や博物館については、緊急事態宣言が解除される前に再開が認められています。
店舗や施設の再開で私たちの以前の暮らしが戻ろうとしていますが、油断は禁物です。世界を見渡せば、南米などで新型コロナウイルスが猛威を振るっている最中で、パンダミックが急速に収束に向かっているとは言えない状況です。国内でも感染第2波が懸念されています。引き続いての用心が必要です。
政府の専門家会議は、再びの感染拡大を防ぐために「新しい生活様式」を提唱しています。「外出時はマスク着用」「手洗いを30秒以上かけて」「食事の際には横並びで座り、おしゃべりは控えめに」「買い物の際には展示品への接触を控えめにして、レジに並ぶときは前後を空ける」「公共交通機関を利用する際には、混んでいる時間帯を避ける」「遊びに行くなら屋内より屋外」などを国民に呼びかけています。
これまでの感染予防のための自粛生活で行ってきた事柄を引き続いて慣習にしようという呼びかけです。取り立てて難しいことではありません。来年、2020東京オリンピック・パラリンピックを無事に開催させるためにも、私たち一人ひとりが自覚を持って、新型コロナウイルスを再び感染拡大させない生活を送りましょう。