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月刊コラム

2019年12月 贈収賄事件でIR否定は筋違い

 元内閣副大臣でIR担当だった秋元司衆院議員が東京地検特捜部に逮捕されました。逮捕容疑はカジノを含む統合型リゾート(IR)参入を目指していた中国企業から賄賂を受け取っていたというものです。これが事実なら国民の信託を裏切った許されない行為です。ただ、この事件で経済活性化の起爆剤となるIR事業まで否定されるものではないということをわきまえなければなりません。

 報道によりますと、秋元容疑者の逮捕容疑は那覇市で開かれたIR関連シンポジウムで知り合った中国企業から、2017年9月の衆院解散当日に現金300万円を受け取ったというものです。このほか、IR候補地であった北海道の留寿都村に家族でスキー旅行に行き、旅費70万円を受け取っていた疑いも持たれています。現職国会議員が逮捕されたのは10年ぶりだということです。

 IRとはカジノのほかにホテルや劇場、国際会議場、展示会場、ショッピングモール、映画館などが集まった複合施設です。IRというと、どうしてもカジノがクローズアップされますが、実は大人から子供まで老若男女が楽しめるリゾート施設なのです。

 ラスベガスやマカオ、シンガポールのIR施設が有名で、多くの観光客を集めています。シンガポールの2009年のインバウンド観光客は968万人でしたが、IR開業後の2013年には1550万人まで増加しました。2009年の年間観光収入126億シンガポールドルから2013年には235億シンガポールドルまで伸長しました。この成功例を見て、国内でもこのような施設を作り、観光振興に役立たせたいという機運が高まりました。2002年に超党派の議員連盟が発足、2013年、2015年にカジノ解禁を柱にしたIR推進法案が国会に上程され、2016年に成立、2018年にはIR実施法案が成立しました。

 招致へ名乗りを上げた都道府県を国土交通相が3カ所認定し、事業者へカジノ免許が交付されます。早くて2020年半ばの開業が予想されていますが、現在、千葉市や横浜市、大阪府などが招致への検討を進めています。以上がIR事業のあらましですが、観光収入の増加ばかりでなく、国内3カ所のIR施設への雇用増やインフラ整備などで多大な経済効果が期待され、民間の研究所の試算によると、その経済効果は2兆1千億円にのぼるそうです。まさに我が国の成長戦略の目玉とされる事業なのです。

 今回の事件を受けて野党は「カジノ禁止法案」を来年の通常国会に提出する方針を固めたそうですが、IR事業に非があって、贈収賄事件につながったわけではありません。IR事業は贈収賄事件と切り分けて賛否を考えるべきです。大坂府の吉村知事は「IRそのものに問題があるわけではなく、マイナスに評価されるべきではない」との見解を示しています。

 IR整備を担当する赤羽国土交通相は「政府としては決められたスケジュールにのっとり、必要な準備を進める」とコメントしました。IR法案は長い間の議論を重ねて成立したものです。一国会議員の不祥事で否定されるものでは決してありません。政府は改めてIR事業への国民の理解を得る努力をするべきです。

 

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