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月刊コラム

2017年11月 横綱の暴行、引退

 日馬富士関が同じモンゴル人力士への暴行の責任を取って引退しました。16歳で来日以来、小兵ながらたゆまぬ努力で横綱まで上り詰めた日馬富士関の引退に、多くの人が残念な思いを抱いたに違いありません。

 元横綱日馬富士関本人や同席した力士に聞き取り調査をした日本相撲協会危機管理委員会によりますと、事件は秋巡業が行われていた10月に多くのモンゴル出身力士が参加して開かれた食事会の2次会で起こりました。白鵬関の説教中にスマートフォンをいじった貴ノ岩に謝罪を求めて平手で殴った元横綱は、にらみ返した貴ノ岩関に激昂、さらに平手やそばにあったリモコンで殴ったといいます。

 元横綱は両親がいない貴ノ岩を日ごろからかわいがっていたそうで、どうやら、白鵬関に対して不遜な態度をとった貴ノ岩関をいさめようとして暴行に及んだようです。ただ、理由がどうであろうと無抵抗の者を殴り、けがを負わせた行為は決して許されるものではありません。まして、凶器を身に付けていないとの仕草で土俵入りをする日下開山が、リモコンを手に相手を殴打するなど言語道断です。元横綱は引退表明会見で、「僕が叱ったことで、彼が礼儀と礼節をちゃんとしていけると思って(やったが)、行き過ぎたことになってしまいました」と話しましたが、暴行事件で綱を汚した責任を取っての引退はやむを得ないでしょう。ただ、このような形で角界を去るのは元横綱に悔いが残るでしょうし、大相撲ファンも大変残念だったと思います。

 事件が明らかになってからこれまで、詳細が分からないままでした。「(貴ノ岩関が横綱らに)もうあなたたちの時代は終わった。これからは俺らの時代なんだと放言した」「日馬富士関が貴ノ岩関をビール瓶で殴った」「灰皿を投げた」などとマスコミで伝えられましたが、モンゴル出身の元横綱朝青龍や元小結旭鷲山も情報戦に加わって情報が二転三転し、真相は闇の中でした。

 情報が混沌とした原因の一つに、「警察による捜査の途中」として口をつぐんできた貴ノ岩関の師匠、貴乃花親方の対応があります。貴乃花親方は「日本相撲協会を改革する」と理事長選挙に立候補しました。現在の日本相撲協会のどこが具体的に悪くて、貴乃花親方がどう改革したいのか不明ですが、事件の真相がはっきりしない理由の一つに日本相撲協会の現執行部と貴乃花親方の確執があると言われています。

 ただ、貴乃花親方は協会の理事であり、暴行問題をまず協会に報告し真相究明を委ねるべきでした。組織に属していながら組織に協力しない貴乃花親方の今回の行動に対して、横綱審議委員会でも疑問の声が出たということです。モンゴルでは元横綱日馬富士関の人気は絶大で、このままでは貴ノ岩関が母国で悪者扱いされてしまいます。貴乃花親方は日本相撲協会理事会で、「(捜査が終わったら)協力する」と話したそうですが、被害者として相撲協会の事情聴取にきちんと応じさせるべきです。

 被害者である貴ノ岩関から、未だ事情を聞けない相撲協会執行部の脆弱さを指摘する声もあがっています。かつて角界は力士らによる野球賭博問題や八百長問題、さらにかわいがりによる弟子死亡事件で大揺れに揺れました。相撲協会では危機管理委員会を設置して不祥事の予防に努めていたはずですが、結局、横綱の引退にまで至った暴行事件を防げませんでした。

 日本相撲協会は税制などが優遇されている公益財団法人で、今回の事件の真相を徹底的に究明して国民に報告し、二度と同じような事件が起こらないような体制を整える義務があります。執行部のガバナンス能力が問われています。

 

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