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月刊コラム

2014年8月 県がいじめ防止基本方針

 いじめ防止対策の指針となる「千葉県いじめ防止基本方針」が策定されました。この基本方針に基づいて、いじめ根絶に向けさまざまな対策が積極的に推進されることになります。

 「千葉県いじめ防止基本方針」は今年2月定例県議会で議員発議され制定された「千葉県いじめ防止対策推進条例」に基づいて策定されました。基本方針の冒頭で、「いじめは、児童生徒が充実した環境で教育を受け、その個性や能力を伸長させながら人格を形成していくという当然の権利を奪う行為で、その後の児童生徒の人生に大きな影を落とし、回復しがたい傷を残すことになりかねず、場合によっては命さえ奪ってしまうもの」と定義し、いじめの防止、早期発見、いじめへの対処などの施策・取り組みを定めています。

 昨年6月、国が交付した「いじめ防止対策推進法」に基づいて、全国各地で推進条例が制定され、基本方針が策定されていますが、「千葉県いじめ防止基本方針」では独自の取り組みとして、定期的なアンケートの実施や個人面談の推進が盛り込まれました。さらに、自殺などの重大な事態が発生した場合は、地元教育委員会の調査結果に対して、県による再調査もできるとされています。

 文部科学省の発表では、2012年度に全国の国公私立小中高校、特別支援学校で認知されたいじめの件数は19万8000件で、前年度の7万件を大きく上回りました。2011年に滋賀県大津市で発生した中2いじめ自殺事件を契機に、いじめ防止対策に積極的に乗り出す学校が増え、これまでは見過ごされてきたものがいじめと認知されるようになったのが、急激に認知件数が増えた理由と思われます。そうであっても、生徒児童千人あたり平均14.3件のいじめ発生が認知されたという事実は、いじめ根絶の難しさを物語っています。

 千葉県では同年度に2万1028件のいじめが認知されました。児童生徒千人あたりでは32.2件で、全国では6番目に多いということです。教育界ばかりでなく、自治体も参加した抜本的ないじめ対策が待ったなしの状況です。

 全国調査によりますと、いじめられた児童生徒の相談状況は「担任に相談」や「保護者や家族に相談」がいずれも増えている一方で、「だれにも相談していない」も6170件から2万1035件に急増しています。さまざまな相談体制を充実強化するのも大切ですが、いじめを受けてもだれにも打ち明けられずに、じっと耐えているこれら児童生徒を救う手段も急いで実施に移さなければなりません。

 このような状況の中、このほど策定された「千葉県いじめ防止基本方針」にいじめ追放への期待が集まっているのですが、その趣旨を生かし、実際にいじめを無くすためには県内の教育界、各自治体が一致協力し、基本方針に基づいた各々の役割を果たさなければなりません。

 国のいじめ防止対策推進法では自治体に基本方針の策定を求めると同時に、学校へもその学校の実情に応じた同様の基本的な方針策定を求めています。これに呼応して県内では柏市立柏中、市川市立大柏中、茂原市立本納小、木更津市立畑沢小など多くの学校が独自のいじめ防止基本方針を策定し、実際の活動を行っています。

 柏市が独自のいじめ防止条例を定めるなど、市町村でもいじめ追放への機運が高まっています。学校、自治体、家庭の3者が手を携えて、是非ともいじめのない社会を実現しようではありませんか。

 

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