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月刊コラム

2018年4月 セクハラ・パワハラ

 財務省次官によるとされるセクハラ騒動を機に、セクハラが改めて世間の注目を集めています。女性記者が「やめてください」と拒絶しているにもかかわらず、みだらな言葉を投げかけ続けたこのケースは論外ですが、会社などでごく当たり前にしていた会話が、ある日突然、セクハラだとして問題視されることもあります。どのような言動がセクハラとされるのか、世の男性はあらかじめ知っておくべきです。

 セクハラとは英語のセクシュアル・ハラスメントの略で、性的な嫌がらせをすることです。1970年代初めにアメリカの女性雑誌の編集者らが作り出した造語とされています。男性から女性への嫌がらせばかりでなく、女性から男性へ、さらに同性同士の嫌がらせもセクハラに該当します。

国内では、1986年に起きた西船橋駅ホーム転落死事件で、セクハラという言葉が注目されました。酔って絡んだ女性に線路上に突き飛ばされた男性が、電車にはねられて死亡したという事件でしたが、起訴された女性を支援する女性団体がセクハラという言葉を使いだしました。ちなみに起訴された女性は正当防衛が認められて無罪になり、この裁判の弁護士に新語・流行語大賞が贈られました。

 セクハラには体にさわるなどの身体的な接触による嫌がらせと言葉による嫌がらせがあります。相手が嫌がっているのに、みだらな誘いをするのは明らかにセクハラですが、容姿について本人が望まないことを言った場合もセクハラと認定されます。相手の容姿をほめたつもりでも、言われた人が不快に思えばセクハラとなってしまいます。

 逆に言えば、相手が嫌がらなければセクハラにあたりません。これが「セクハラの定義は曖昧」と言われる所以で、要するにセクハラにあたるかあたらないかは相手次第ということになります。ただ、言われた本人が嫌がらなくても、聞いていた人が不快に思えば、それはセクハラになります。

 アメリカでは数々のアカデミー賞受賞映画を手掛けてきた大物プロデューサーのセクハラ疑惑がニューヨークタイムズで報じられたのに端を発して被害者が次々と声を上げ、#MeToo(私も)運動に発展しました。セクハラ告発の動きはフランスや韓国にも波及し、多数の政治家や俳優、文化人などの著名人がセクハラで告発されました。

 わが国では平成28年4月に女性活躍推進法が全面施行され、個性と能力を十分に発揮しようという女性の職場進出が後押しされています。そのような状況にあって、セクハラは厳しく糾弾されるのが必定です。「気を使いすぎるぐらい使わなければ、職場で平穏に過ごせないのは行き過ぎ」という声もありますが、たとえそうであっても、職場からセクハラを追放しようという考えが主流です。スポーツ新聞などの性的描写を含むページを広げているだけで、セクハラと扱われる場合もあるということです。覚えがないのにある日突然、セクハラで告発されるということのないよう、十分な注意をするのに越したことはありません。

 セクハラと同じく、職場での撲滅が呼びかけられている問題に自らの権力や立場を利用した嫌がらせであるパワハラ(パワーハラスメント)があります。千葉労働局の統計では、平成29年度上半期(4月1日~9月30日)に1093件の「いじめ・嫌がらせ(パワハラを含む)」相談が寄せられ、個別労働紛争相談全体の3割を超えました。「上司から暴言を受けた」「無視されて精神的に追い詰められた」などという相談が目立ったということです。

 電通の女子職員が過重労働を訴えて自殺した出来事やレスリング協会の前強化本部長による伊調馨選手らへのいやがらせで、パワハラがクローズアップされていますが、千葉労働局への相談件数を見ても、多くの職場でパワハラが発生している様子がうかがえます。

 パワハラの被害者は精神的に追い詰められ、労災として認定されることも少なくないようです。加害者は名誉棄損や侮辱罪の刑事責任を問われる場合があります。いずれにしても、正常な職場環境ではありません。セクハラと同様に、パワハラのない職場が求められています。

 

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