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月刊コラム

2017年2月 金正男氏毒殺

 マレーシアのクアラルンプール空港で、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長の異母兄、金正男氏が暗殺された事件が毎日、マスコミに大きく取り上げられています。大勢の乗降客でにぎわう国際空港で、堂々と行われた薬物による犯行に、世界中の人々がショックを受けています。

 この事件でマレーシア警察は実際に手を下したインドネシア国籍とベトナム国籍の2人の女を逮捕、北朝鮮籍の男4人を指名手配しました。北朝鮮は頑として犯行を認めませんが、空港での防犯カメラに写った映像や、指名手配された男が犯行後、急ぎ北朝鮮に帰ったことからも北朝鮮が深く関わった暗殺事件であることは明らかです。情報筋によれば、北朝鮮には偵察総局19課と呼ばれる組織があり、主に毒物による暗殺工作が専門と言われていて、今回の犯行は同課が関わったのではないかとみられています。

 犯行に使われた毒物が注目されていましたが、マレーシア警察はVXであることを明らかにしました。VXは史上最強、最悪の神経剤と言われ、皮膚に触れるとわずかな量でも神経機能に作用し、呼吸困難や意識障害を引き起こす猛毒です。化学兵器禁止条約で使用ばかりか、製造、保有も禁じられていますが、北朝鮮は未加盟で、国内に大量のVXを保有しているとされています。そして、そのVXを勝手に開けられない外交郵便袋でマレーシアに送ったのではないかと、地元のメディアが一斉に報じています。

 VXと言えば、オウム真理教事件を思い出します。教団施設内で製造したVXを「オウム真理教被害者の会」の永岡会長にふりかけ、殺害を企てました。永岡会長は痙攣などを引き起こしましたが、病院で治療を受けて一命をとりとめました。永岡会長と信者奪回活動をしていた滝本弁護士はVXを車のドア取っ手に塗り付けられましたが、手袋をしていたため、危うく難を逃れました。滝本弁護士は自身のブログで「北朝鮮がオウムの犯行に学んではないか」と推測を述べています。

 薬物による暗殺の歴史は古く、ローマ帝国の時代までさかのぼります。飲み物に入れられ、政敵や商売がたきを葬るために使われました。さらに中世ヨーロッパでは、殺人術の一つとして一般的になったといいます。ヒトラーは毒物による暗殺を恐れ、食事の毒見役を置いていたそうです。それほど古典的な毒殺という手段での暗殺が、世界中に衝撃を与えました。

 親密だった中国も北朝鮮産の石炭の輸入を停止して、核実験に対する国連安全保障理事会の制裁決議を執行、今回の事件で友好国だったマレーシアとの関係もぎくしゃくするなど、北朝鮮は孤立を深めています。アメリカは北朝鮮を「ならず者国家」と定めています。そのならず者が核とミサイルという2本の牙を研いでいます。孤立した北朝鮮が暴挙に出ないよう、国連を中心とした一層の監視が大切です。

 暗殺が白昼の空港で堂々と行われたということにも注目しなければなりません。自分のことに忙しく、他人に注意を払わない人が大勢行き来する空港に、犯行を可能にするエアポケットがあったのではないでしょうか。同じく大勢の乗降客が利用する成田空港でも今回の事件を分析し、警備体制の一層の強化を図るべきです。

 

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