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月刊コラム

2017年1月 運転免許証の自主返納

 高齢者が運転する車の事故が多発しています。高齢化が進む時代にあって、高齢ドライバーによる事故はますます増加するものとみられており、対策が急務となっています。

 対策の一つとして運転免許証の自主返納があげられます。運転に自信が無くなった、あるいは車の運転に不適格とされた高齢者が自主的に運転免許証を返却する制度で、高齢ドライバーによる交通事故を防ぐための根本的な対策とも言えますが、自主返納者の割合はまだまだ低いのが現実です。とはいえ、免許の返納だけを求めても代替の交通手段を用意しなければ、いたずらに交通弱者を増やすだけになってしまいます。それらを担保した上で、運転免許証の自主返納を促す施策が必要です。

 高齢ドライバーによる交通事故は、一般のドライバーによる運転ならめったに起こりえないような事故が目立つのが特色です。昨年11月には東京・立川市の病院建物に83歳の女性が運転する車が突っ込んで男女2人が死亡するという事故がありました。アクセルとブレーキを踏み間違えたとみられています。県内では同月、栄町で70歳代の男性が運転する乗用車が中央車線をはみ出し、前から来た軽乗用車と衝突、軽乗用車の男女4人が重軽傷を負いました。乗用車の運転手は認知症の有無について警察に詳しく事情を聞かれたそうです。

 高速道路の逆走も目立ちます。昨年7月には岡山県の山陽自動車道を69歳が運転する車が逆走し、大型トラックと正面衝突して乗用車の女性が死亡しました。

 警視庁のまとめによりますと、昨年1年間、東京都内で発生した交通事故の約2割が65歳以上の高齢ドライバーが関係した事故で、この10年間で約2倍に増えたそうです。千葉県では交通事故発生件数が減少しているにもかかわらず、高齢ドライバーによる交通事故発生件数は横ばいで、その結果、高齢ドライバーによる交通事故の割合は年々高まっており、一昨年は全体の21・5%が高齢ドライバーに関係した事故でした。そして、昨年上半期に全国で発生した交通事故のうち、65歳以上の高齢者で過失が重い側である第1当事者になった事故が全体の28%にも達し、過去10年間で最も高い水準となりました。

 高齢になると運動能力や判断能力などの体の機能が確実に衰えていきます。また、自分でははっきりと自覚しないものの、認知症が進行しているドライバーもいます。この高齢者の認知症が車の運転の大敵であることは言うまでもありません。国立長寿医療研究センターの調査では、65歳以上の高齢ドライバーのうちの6割以上が中程度の認知障害を抱えているとのことです。重大な事故を起こした高齢ドライバーが「どうして事故を起こしたか分からない」「記憶にない」と答えるケースも増えています。

 このような実情を踏まえて、警察や自治体は高齢者に免許証の自主返納を呼びかけていますが、なかなか進まないのが現状のようです。高齢者になるほど、自分の運転技術に自信を持っていて、車の運転は生きがいという人も多いようです。また、徒歩圏内に病院や日用品を販売している店が無く、車は必需品という高齢者も大勢います。このような様々な理由から一昨年、75歳以上のドライバーで運転免許証を自主返納した人は、全国で2・8%にとどまっています。

 この割合をなんとか引き上げようと、全国の自治体で自主返納を促すさまざまな取り組みが行われています。免許証を返納して代わりに運転経歴証明書を手に入れた高齢者に、バスやタクシー乗車運賃の割引をしている自治体が多く、県内でもいすみ市や流山市などが市営バスの乗車運賃を半額に割引いています。このほか、鴨川市シーワールド、京成バラ園、マザー牧場などの入場料やホテルなどの宿泊料金を割引いたり、百貨店では自宅への配送を無料で行っています。

 一部に「高齢ドライバーによる事故を無くすために、75歳以上の人の免許証を一律に取り上げたらどうか」という意見もあるようですが、それは極論に過ぎます。教習所での高齢者を対象とした運転実技テストを手軽に受けられるようにし、自分の運転技術の現状を実感してもらうなどの試みを増やし、納得して免許証を返納してもらう取り組みが必要です。

 

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