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月刊コラム

2010年11月 成田空港発着枠30万回のその先

 成田空港の年間発着枠30万回への引き上げが、国土交通省、千葉県、地元9市町村、空港会社(NAA)でつくる四者協議会で合意されました。航空機騒音の増加を懸念する地元住民も、成田空港の発展を願って発着枠拡大に同意しました。この苦渋の選択に報いるためにも、発着30万回のメリットを十分に生かし、真の世界のハブ空港への発展が望まれています。

 そもそも、成田空港は「北総台地に国際空港を建設する」という国の施策に基づいて、多くの農民が農地を提供し、県や地元市町村の関係者が寝食を忘れて取り組んだ末に建設された空港であることを忘れてはなりません。その間、貴重な人命も失われました。

 このような経緯から、国や当時の政府も「国際線は成田、国内線は羽田」と表明していたはずでした。それが、国際チャーター便の離陸を橋頭堡にして、いつしか羽田の国際空港化が着々と進められるようになりました。地元感情としては到底納得できない動きですが、事の是非を判断するのは、より便利な空港を選択する利用者であることを忘れてはなりません。したがって我々が行うべきことは、感情論を声高に叫ぶことではなく、成田空港の拡充こそが国際航空需要に対応し、利用者にとっても最良の方策であることを訴えることです。

 成田空港の魅力度を高めるためには、発着枠の引き上げが最大の命題でした。平成19年の9月県議会で、私は当選後初の一般質問に登壇、成田空港の発着容量増大に向けて積極的に働きかけるよう県に求め、その後も機会あるごとに発着枠引き上げの必要を訴えてきました。その訴えが今回の四者合意でようやく実現することになりました。

 しかし大切なのは、現在の22万回から30万回への引き上げ分を具体的にどのように生かすかということです。今のところ、格安航空会社(LCC)を誘致するほか、国内線の拡充が考えられています。国内の地方空港との連絡を密にすることで、国際線の強力なネットワークを生かし、ハブ(国際拠点)空港としての機能を強化しようという方針です。また、NAAはLCC誘致のための新しいターミナルを建設し、平成26年度にも航空機発着30万回を実現する計画を立てています。

 成田空港の発着回数が30万回に増加した場合、1兆1833億円の経済波及効果(平成19年度対比)が試算されています。この波及効果を地元に落とすためには、増加する航空旅行客の受け入れ態勢を充実することがぜひとも必要です。私が先の9月議会で質問し、森田知事も乗り気なカジノ建設や、医療と観光を結びつけたメディカルツーリズムは旅行客の目を向けさせる一つのアイデアとして有望です。

 これまでは国から押し付けられた迷惑施設であったかもしれませんが、今後は「地域との共栄」をキーワードに、地元から成田空港のさらなる可能性を積極的に発信していくことが求められます。

 

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